
「染まる大地」
会員No.208006 鈴木啓二朗
撮影地:松本市美ヶ原高原
カメラ 6x7
冬期通行止め前の美ヶ原高原に出掛けましたら、なんと霧氷が樹木に付いており、雲も無く、快晴で日の出も素晴らしく、目で見るよりフィルムの感度も良くピンク色に染まりました。でもピンク色は、すぐ白色の光線になりアッという間でした。なので、夕景も撮影に登ったら一日中霧氷が付いたままの気温だったのですが、夕景も素晴らしくアッという間の出来事でした。次の朝も美ヶ原に登ったら、もう霧氷は後片(跡形?) も無くなっていました。一期一会の出会いとシャッターチャンスの場所選びの大切さを感じた心に残る写真であります。
2019年1月掲載

「水辺の風景」
会員No.211006 岩屋昭春
撮影地:長野県山ノ内町 志賀高原木戸池
撮影データ:デジタル 70㎜
PFJ秋の撮影ツアーで志賀高原に行った時の写真です。
光を失った湖畔(池畔?)の夕暮れは、一日の終わりを告げなかったかのように、なんとなくさびしい風景です。水際の白樺も落葉し白い樹影を湖面に浮かべ、過ぎゆく晩秋の雰囲気が漂っていました。
今日は夕焼けも無く終わってしまうのかと思いながら歩いていると、手前の水際に褐色した葦の一群を発見。「私を撮ってくれ」と言わんばかりに色づいており、湖畔の風景を賑やかにしていました。ややもすると手前が強調されすぎる風景となるところを、中望遠レンズで対岸の風景を引き寄せ、手前を抑え気味に、フレーミングに注力しながら撮った一枚です。
こののち、厳冬に覆われていくだろうことを思う、時の流れを感じさせる私の好きな風景です。
2019年3月掲載

心に残った風景
会員No. 210009 八尾 博史
「浄土平&八幡平の錦秋風景」の撮影会にマイカーで参加しました。国道341号 曽利の滝付近の沢の紅葉が良い今日最後の撮影です。
橋の上から俯瞰すると、紅葉が素晴らしい。三脚を橋の欄干にたて、エイトバイテン(8in×10 in)のカメラを慎重に据えつける。冠布をかぶり、構図・ピント・露出を計り、ルーペで隅々を確認、再度カメラのネジを固定する。フィルムホルダーをセットした。車が通過してしばらく待って、車が来ないことを祈る気持ちでレリーズのシャッターを押す。帰途アスピーデラインが大雪になり遠回りして帰る。
2019年4月掲載

舞坂武光 (会員番号:201005)
PFJ展を都美術館にて全倍で展示する件に関
し侃々諤々意見沸騰した頃の懐かしい作品になります。何度も訪れて凍った湖面を撮影してきた栃木県塩谷町の東小屋湖(ヒガシゴヤコ)も夜明け前の雪のため湖面は真っ白な雪に覆われて、凍結し砕かれた氷の景色のイメージとはかなり違う姿となっていました。暗い早朝からの撮影にも疲れ、かなり暖かさを感じ面白みも少なくなったなと撮影を終了し帰路についた時、突然、湖面に一筋の筋が生じ、みるみるうちに全面に拡がっていきました。
あー、面白い!と急ぎ車を止め三脚を立てて夢中で撮影しました。暖かな陽のため程なく割れた氷の上の雪も融けてしまい、たちまち姿を変えてしまいました。その折に撮った一枚が都美術館でのPFJ四季の彩り展にて全倍で展示され、全倍作品化に尻込みしていた私を勇気付けてくれ、私としては記念すべき一枚です。この際に撮影した別のイメージの作品は美しい風景写真100人展に採用されました。
2019年5月掲載

「目覚めの刻」
山口 喜世子(会員No. 214012)
月末、厳冬の釧路湿原は氷点下の早朝、見事に霧氷がつき素晴らしい光景でした。はやる気持ちを抑えて日の出を待ちました。霧氷の河岸川、霧の向こうからドラマチックに染まる朝の光が刻々と変化して一期一会の美しい瞬間に感動しました。
2019年6月掲載

「窓から見る桜花」
(マドカラミルサクラバナ)
会員No.214010 鈴木 弘一
4月8日、日本写真家連盟の会報が届きました。この日は私の87歳の誕生日、プレゼントを頂いたような嬉しい気持ちで拝見しました。平成最後の1月の作品展では突然お当番のお務めを果たすことができなくなり、皆様にご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
階段から転落し頭部7針縫合、腰骨骨折で救急搬送されましたが、ついでに持病の心臓大動脈瘤の手術もして頂きました。手術直後は病院の窓からガラス越しに撮影するのが精一杯の日々でした。暗く厳しい冬を経てリハビリ病院の周囲に桜のつぼみがふくらむ頃、やっと外での撮影が許されました。一歩外に出ると、あたり一面の桜の花に微笑みかけられ、一生忘れられない風景となりました。今後とも精進して参りますので、ご指導の程よろしくお願い申し上げます。
2019年7月掲載

「凍える大地」
会員No.214001 長谷川 伸吾
撮影地:北海道美瑛町、カメラ:6×4.5
北の大地は厳寒の冬こそ映えるもの、と冬の北海道行を始めて何シ-ズンが経った頃であった。時は夕刻、北のくにの日没は早い。深い曇天で今日はこれ迄かと思ったその時、西の方に何と銀色の雲が裂け畑は淡い橙色に染まった。おやっ、いつもの大地の光方とは違うな、と思ったがその荘厳な輝きに圧倒されシャッタ-を切った。ただの一枚の畑という平凡な風景であったが、自分ではこれぞ冬の北海道ならではの姿であろうと思った。旅も終わりに近づき入ったとある食堂のおかみさんが何げなく小生に、この1月に何と雨が降ったよ、との話。本来の寒さが戻り大地を凍らせたというのである。秋蒔き小麦は果たして大丈夫かしらと嘆いた。はっと気が付いた。あの北国らしい光景は異常気象のせいであったと。誠に珍しい現象に立ち会えた反面、農家の方のことを慮るに何と甘い考えであつたかと反省した一枚である。
2019年8月掲載

「 冬への転生 」
会員No. 216001 町田 仁
撮影地:秋田県湯沢市小安峡
カメラ:35D-FULL
小安峡は、谷の左岸のいくつもの割れ目から熱湯が噴き出す秋田県南部にある景勝地です。11月上旬、その日は朝から雪がちらつき、現地に着いたときには雪は本降りになっていました。晩秋の渓谷は紅葉の樹木に雪が纏わり、艶やかな姿になっていました。噴湯から舞い上がる湯気と降りしきる雪とが、名残の紅葉と交錯し、美しい光景に変貌していきました。その雪も9時頃にはさらに激しくなり、渓谷の底を流れる皆瀬川の川面も、そして目の前も鈍色の空から間断なく落ちてくる雪で全く見えなくなりました。秋から冬へと移る11月の山々や渓谷は、雪で道路が閉鎖されるまでの短い間、様々に姿を変え、雪国で育った私を不思議と満たされた気持ちにしてくれます。そんな雪への郷愁が撮らせてくれた初冬の1枚です。
2019年9月掲載

「秋景」
会員NO 214006 金山 武
私にとって、PFJに入って最初の「四季の彩り展」の展示作品になります。
郷里福島県本宮市で、8年前(平成23年)の10月に中学校の同窓会があり、その帰りに、生家の付近で撮影した一枚です。
取り入れの終わった稲田にその当時でも珍しくなった「棒立て」に稲が干してありました。同窓会に来た記念に残しておこうと思って撮った一枚です。
背景の安達太良山に掛った雲間に晴れ間が残り、土手には彼岸花、コスモスが咲き、その前に「棒立て」の稲、今は殆ど見ることが無くなった日本の原風景、私の原風景でもあります。
時々、頒けて欲しいとの話があります。 友人たちにとっても「心に残った風景」のようです。これからも心に残る作品を撮って行きたいと思います
2019年10月掲載

「 シュカブラ 」
会員No. 207010 佐々木 弘元
撮影地:八幡平
カメラ: ニコン・D-FULL
冬の山登りは早立が原則、天気が恵まれた日を探し出かける。行き先はロケハンを目的にした八幡平登山。朝6時出発して三時間後歩行開始地点に付く、更に写真撮影をしながら3時間半位歩いて山頂近くの山小屋に付く。ここで急いで昼食をとり12時30分本命の写真撮影に急ぐ。13時ごろ見返峠に着く、ここが本命ロケハンの予定地だ。この辺のアオモリトドマツは雪が深いにも関わらず樹高が有り、これに発達する樹氷は、大変立派に出来る、またシュカブラは風が強い勢か地図の等高線状に鮮明に現れていた。よ-し今日はここで撮そうとばかりザックを下ろし、スキ-を脱いで、足元に注意しながら早池峰山、岩手山、モッコ岳、秋田駒、森吉山と数十枚のカットを撮り、われに返り時計を見ると14時を大分過ぎている(1月2月は14時に、3月は15時帰途に着くようにしている)今日は大分遅れ時間となっており、急いで機材を終い込みスキ-を履き帰途を急いだ。遅れている時間を取り戻そうと樹氷原帯に入って暫く行くと、大きな穴が2つ並んで有り横断出来ず、見ていると穴と穴の間にスキ-板1枚分の雪が残っている所が有り、少し速度を上げて、片足であげてやっとの思いで穴を渡り八幡沼近辺に夏コ-ス近辺に出会い帰途を急ぎ18時下界に下り、帰宅は19時過ぎであった。
2019年12月掲載