「朝光」  第3回『四季の彩り』展(1990年) 出展作品

会員No.189046 加賀谷一三

撮影地:更埴市(現 千曲市)

カメラ:6x7   

 

「朝光」は、1989年、私がPFJに入会して間もない頃、入会を勧めてくれた先輩から、入会したからには写真展に出展する写真を撮らなくてはいけないと言われ、どこか自分の知っている撮影地はないか? と聞かれ、今時分であれば以前住んだ事のある長野県更埴市(現 千曲市)の森のアンズの里なら知っている。そして、そこに住んでいる友達もいると答えたら、「今すぐに連絡してそこに行って撮影してきなさい」と言われ、その場で地元の友達に電話し開花状況を尋ねたらもう咲き始めているとのこと、(4月10日頃)今度風景写真を始める旨を伝えると、久し振りだからうちに泊まりに来れば良い、車も貸してやるから好きなだけ撮って帰ればいいとのありがたい言葉に甘えることになった。

さて、アンズの里に行くとそこはまさに花園、アンズの花で埋め尽くされていた。しかし、人工物を入れないでの撮影はかなり制約があり、観光地でもあるので人出も多くなかなか思うようにシャッターが切れない面もあった。そんな中、青い山肌にアンズの花が浮かび上がるこの場所を見つけ、先輩や旧友に感謝しつつシャッターを切ったことを、今、懐かしく思い返している。そして「朝光」は、私の風景写真展のデビュー作品となった。

当時、高速道路はまだ整備されていなかったが、現在は長野自動車道や上信越自動車道が整備されている。二つの高速道路が合流する更埴インターから車で10分ほどの距離にあります。

 「想」  第3回『四季の彩り』展(1990年) 出展作品

 

会員番号:188047 中尾博妟

場所:八甲田山

カメラ:6×4.5

東北地方の風景の奥深さと厚みに加えて色彩の豊かさに魅せられ、 1986年から1995年 まで八甲田、八幡平方面を中心に新緑と紅葉を求めて撮影に出かけました。 

私は風景を撮る際、自然とその奥にある本質と内実の神秘性をうかがえる様な表現が出来れば理奥的と考え、又同時に作品には 精神性の高さ、宗高さ、壮大さとパワーが 肝要と思っておりますが、 現実は仲々思うようにはいかず今日いたっております。「想」は1988年10月10日、八甲田の田代平で出会ったぶなの原生林です。林に入ってすぐ感じたことは、大聖堂の中で聖なる 空気に包まれたような気分に なったことです。

巨木が点在し、それを 若木がとりかこみ、古代よりとてつもなく長い年月にくり返された輪廻の中で林が形成されており、神の采配としかいいようがないと思いました。古代人も活きる中で見てきた風景ではないかと想像致しました。

 黄葉の林ですが、 幹を本体に据えて清浄感を表現したいと思い、又太くて風格のある古木は他を圧する存在感があり、囲りの細い木々はまだ若くて明 るく希望のある未来を表わすものとしたいと考えて光り輝く黄葉をあえてひかえめにして木々のリズムと大地を撮ることにしました。私の精神の風景写真でしょうか? 

第6回展 「霧 煙」より

氏名:倉田靖彦

撮影地:静岡県伊豆市

カメラ:6×6 250mm

PFJ入会4年目の第6回展に出展したこの作品「霧 煙」は平成4年日本ハッセルブラッドフォトクラブ主催の伊豆方面撮影行に参加した折に温泉宿最上階から撮った作品です。

私の撮影スタイルの一つに、宿に着いたら先ず一番先に行くところがあります。それは宿の屋上やテラスからの風景や月暦などの条件を読み良ければその瞬間を撮る事にしています。

この日は朝食前に非常階段にカメラをセットし山腹に咲き誇る山桜を撮影、やがて雨は止み薄日が竹林を照らし始めた時、しっとり濡れた色濃い桜の樹々から突然霧煙が立ち昇りました。ときめく胸を押さえながら霧中でシャッターを切るが僅か3カットで霧煙は消え去りドラマは一瞬にして終わったのを記憶しています。

なお、別の月写真は今年のPFJ撮影会で早朝4時半宿のベランダから桜咲く山裾に沈む満月を撮った作品で事前情報を読んだ結果の作例です。

所で、入会7年目1996年12月号のアサヒカメラで竹内敏信監修による新・風景講座「撮影テーマの絞り方を探る」の対談にアマチュア風景作家3人の中に選ばれ、対談形式で各自の作品50点以上を見て頂き竹内先生からのコメントを戴きました。人が自然に接した時、精神を環境に溶け込ませて対象を見るということが大切。それが一番自然なことで、そんなメッセージが私の作品から伝わってくるというお言葉を戴きました。その折、私なりに写真を撮る5カ条を紹介させて頂きました。それは1.「作る写真から発見する写真を」2.「自問自答の持続を」3.「没個性からの脱却を」4.「継続は力なり」5.「写真バカにならないための努力を」などで今も常に心がけています。

顧みるにこの6回展では126点が出展され、この頃は山岳写真家川口先生とまだ50歳の若さで日本の風景写真界を牽引する竹内先生との両輪による指導で緊張と充実した例会が懐かしく思いだされます。

今回この企画により風景写真に対する考え方や発表の決意などを今一度振り還る良い機会を与えて頂いたことに感謝すると共に、今後はデジタル時代に相応しいデジタルならではの風景写真に挑戦してまいりたいと思っています。

「流れる」    

第6回『四季の彩り』展(1993年) 出展作品

会員No.191011 御子柴 正義

撮影場所:新潟県銀山平枝折峠

カメラ:マミヤRB6x8・210mm

 

早朝、日の出前に枝折峠に到着した。日の出前の山間に霧が静かに流れる光景を見て、驚きと嬉しさに小躍りして何カットもシャッターを切った。このような神秘的と云える光景に出会ったのは初めてのことで、深く感動した。初めての訪問で滝雲に出会えるのは僥倖とも言われ、同行頂いた先輩、米津さん(元会長)、小俣さん(元副会長)に大感謝であった。

今思えば、この撮影行を契機に、10数年にわたり撮影行にご一緒させて頂き、東北地方のブナ林の魅力に魅せられ、南会津や鳥海山周辺の森の撮影に没頭していった。多雪地帯で風雪に耐え身をよじる巨木に出会い、その姿に凄みや神秘性すら感じた。吹雪が幹に張り付いた林、樹間がシダに覆われる風景、秋に葉を落とし幹が白く光る樹林、豪雪の重圧と戦った証の根曲がりの大木などは好みの被写体で、多くフィルムに残すことが出来た。また、先輩からは写真を撮る心構え、技術的なことも含めて勉強させて頂いた。今日までつつがなく写真に没頭することが出来たのも、如何に人と人とのつながりが大切であるかを教えられたのも、PFJでの写真活動の賜物であると感謝している次第です。

「渓間厳冬」   

第7回『四季の彩り』展(1994年) 出展作品

撮影地:福島県舘岩村  カメラ:6×7 80mm

 

奥会津地方は福島県南会津町(広域町村合併で旧田島町、南郷村、伊南村、舘岩村を含む)と隣接する桧枝岐村、昭和村、下郷町等を指すが、北に磐梯朝日国立公園、南に日光ならびに尾瀬国立公園という名だたる風光の狭間にありながら、これまで交通の便が余り良くなく(鉄道は東寄りに単線の第3セクター、道路は大型バスの通行困難な場所が多い)山村にあって、それが故に自然と共存する貴重な生活が保たれて来ていた。30数年前は竹内敏信PFJ元常任講師が時に撮影し新聞雑誌に発表して、徐々に脚光を浴び始めたところであった。所々の集落にはまだ曲がり家(農耕用家畜と農民が同居する家屋)の茅葺が散見された。「この自然の中で人々がどのように生活しているのか、そして人々の暮らしと自然が織りなす光景を画像を通じて様々な角度から捉えることの出来る数少ない地域ではないのかと感じている。」(竹内先生)

 この地域は文化的にも朴訥で純粋な人々に育まれて、歳時記の郷といわれるように伝統的な行事を伝承して古いものを大切にし、学問を重んじ、詩歌や歌舞伎(桧枝岐村、旧田島町には現存する)などにも長じている。私ども撮影仲間では一時期、大農家の一画にあった茅葺の離れを借りて撮影の拠点にしたこともあったが、今も地元の方々とは交流している。四季折々に様々な場面があるが、特に冬季の風景は素晴らしく、このような光景を随所に見せて呉れる。

「雨氷」

第7回『四季の彩り』展(1994年) 

会員番号 192031 行川 英之

撮影場所:長野県中央アルプス 

カメラ:ペンタックス6×7 90mm

 

 中央自動車道を利用して菅の台バスセンターへ到着後、ロープウェイが凍結運休と知り、毎回3泊しているのでホテル千畳敷に連絡しバスセンター近くに宿泊。翌日ロープウェイが開通、しらび平駅への車中からポイントを探し、道路脇に大きなツララが見えた。それからしらび平駅に着きロープウェイで千畳敷着。ホテルの部屋から外を見ると今まで見た事のない風景が。光を見て翌日に期待、ホテルを出て雨氷を撮る。樺の枝に付いた雨氷の擦る音が神秘的で良かった。帰りのバスで見えたツララ近辺のバス停で降りたが、ツララに当たる光が悪く断念し帰路についた。翌月ホテル千畳敷へ。今までと変わり映えなく早々と帰りのバスに乗りツララ近辺のバス停へ、今度は川べりに降りて探索すると川岸の岩に付いた氷が雪豹に見えたので撮った。それが第8回展作品に取り上げて戴いた「渓流傍」です。

 雨氷は1月~2月にあるそうです。もし行かれるようでしたら、アイゼン・かんじきを持参してください。山のガイドと数人が雪崩でお亡くなりになっております。ここは山の四季を手軽に感じ、又山を縦走しながら被写体を探すのも良いです。

 2020年1月現在、駒ヶ岳ロープウェイが支柱の変形でホテルも当面休業です。

駒ヶ岳ロープウェイ TEL 0265-83-3107

 

ホテル千畳敷    TEL 0265-83-3844

「落日」

第8回『四季の彩り』展(1995年) 出展作品

会員No.190017 板尾 浩

撮影場所:長野県茅野市北八ヶ岳坪庭

カメラ:4×5inch 400mm

 

1986年11月、あるプロカメラマンのすすめで4×5inch判のカメラを買いました。そのころ撮りたかったのは山岳写真でしたが、休暇は取れず、土日に『武蔵野』を撮ろうと出歩く程度でした。ただ年末年始は、北八ヶ岳で過ごしました。『落日』は、その頃の1枚です。

そうした時期、富士フォトサロン(有楽町高速道路下)で開催されていた第3回『四季の彩り』展の会場前を偶然に通りかかり、即入会を決めました。1990年1月のことです。この時、展示作品114点のうち36点が4×5inch判によるものでした。何らかの技術的指導が受けられると期待しての入会で、上高地・乗鞍、奥志賀の撮影会に参加しました。

自身の撮影は、なかなか軌道に乗らず例会に出席するようになったのは、1994年に入ってからでした。この『落日』は川口邦雄先生に合格印をいただいたものですが、第8回展で竹内敏信先生の作品が同じタイトルで、気まずい思いをしました。

私にとって初めての公の場への出展でしたが、会場当番に当たった日、阪神淡路大震災が発生しました。一級建築士として建設会社に勤務していた私は4月から大阪勤務となり、これが大きな転機になりました。『大和を撮る!』と決め、奈良市内に住居を構え、毎週末、車で奈良県内を回り、いくつかの作品を『四季の彩り』展に出展しました。その後は、人文的な風景写真を指向するようになりましたが、大判カメラを始めて間もない頃に冬の縞枯山荘、麦草ヒュッテ、高見石小屋などを泊まり歩いていたことを懐かしく思います。

「雲立ちぬ」

第8回『四季の彩り』展 出展作品

会員No.194028 佐藤 陽子

撮影場所:山梨県河口湖付近

カメラ:6×7 レンズ:135mm

 

日本の国は四季に恵まれ、桜や富士山が人の心をとらえ、讃えられてきました。 

趣味として、重たいペンタックスの67を担いで、山々を歩き、フイルムで撮影しました。 

掲載させて頂いた「雲立ちぬ」は、河口湖周辺で、三つ峠や浅間山あたりを歩いている時に、空を見上げると風に吹かれて漂う白い雲がデザインされた様に漂っていました。

厳しい自然の環境の中で、ふと振り返ると、その風景はデザイン化され心に焼き付きました。風景写真をデザイン化する事が楽しみとなり、そこに感動も交えて撮影したいなと感じています。

花壇や水辺などでも、感動するデザインを見かけます。 是非、お試しください。

時代は進みデジタル化され、デスクの上でパソコン加工出来ます。でも、昔受けた感動が忘れられません。

 これからも、野山を駆けずり回り、自然からの感動の恩恵に浴したいと願っています。

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