
今月の一枚 1月度
『 稜線厳寒 』
会員No.190017 板尾 浩
撮影地:長野県原村
撮影日:2015年1月3日
カメラ:WISTA45SP(4×5inch判)
レンズ:Nikon T ED800mm
データ:F16 1/125 フィルム : RVP100+1
ひところ月ばかり追っていましたので、撮影時の月の位置が計算できるようになりました。月の方位角から撮影エリアをしぼり、ストリートビューで開けた場所を見つけました。これは八ヶ岳から昇る月齢12.1の月です。満月にはまだ早かったのですが、翌日の月の昇る頃は周囲が真っ暗なのでこの日にしました。日没まで30分ほどあり、全体にアンバーがかった色調で、麓の濃いエンジ色の唐松の森、中腹の針葉樹の樹氷もクッキリと表現できました。4×5では、最長級の望遠レンズで頑張っても月の大きさはこの程度です。60cmの長尺蛇腹をギリギリまで伸ばしましたが風がなく幸いでした。

今月の一枚 2022年2月度
「 霧の中に立つ 」会員番号No219007 竹達 和久
撮影地:新潟県高岡市山越地区
撮影日:2015年11月4日
カメラ:ニコンD-3300(aps-c)
レンズ:VR 55~200㎜
私は還暦を過ぎてから写真を覚えました。この写真はツアーの早朝撮影で撮ったものです。
この日の霧はとても深くて、同行の先生も「自分もここはよく来るがこんなに深い霧は初めてだ。折角だから後の予定を変更してこのチャンスを活かそう。」と言って、6時間近く撮影地にいました。私は風に吹かれて時折見せる霧の合間の光景を、朝食をとるのも忘れてシャッタ-をきっていました。一期一会の自然の光景を写真に撮ることの素晴らしさと楽しさを教えてくれた時でした。

今月の一枚 2022年3月度
『 日が昇る 』 会員№ 216013 松村 恵一
撮影地:東京都 目黒区 目黒川
撮影日: 2016年4月30日 AM5:30
カメラ:35㎜ フルサイズ デジタルカメラ 三脚使用
レンズ:200㎜(70〜200㎜) フィルタ-ND+PL 併用
データ:1/250 f3.5 ISO 200
近頃の目黒川は都内有数の桜の名所となり、多数の花見客が集まり混雑を極めています。桜咲く時季の中目黒駅を中心とした目黒川沿いは、以前の住宅街・マンションの生活地域が、レストラン・飲食店・ブテック・などに入れ替わり、飲食業を中心とした街に 変化して来ました。コロナ禍の2年間は花見客が相当減りましたが、写真撮影に出かける事に惑いが有りましたので、目黒川にも出かけませんでした。少々前の作品に成りますが、この撮影場所は私の知る範囲で、唯一の日ノ出と目黒川の桜が写せる処になります。撮影には日ノ出時刻に合わせて出かけ、八・九分咲きの花を選びました。太陽を背景にした枝先の桜を主役として、DN・PLフィルター 2枚を重ねてシャッターを切りました。

今月の一枚 2022年4月度
『 陽 春 』 会員№ 190050 安井 博道
撮影地:山梨県甲州市塩山慈雲寺
撮影日: 2016年3月20日
カメラ:Plaubel Makina 670
レンズ:Nikkor 80mm F2.8
データ:データ1/8 f16 RVP
写真家の皆さんは春めいてくると気分が高揚してときめきを感じ、何となく桜に出会いたくなる。鈴木先生もこの季節は(所用で一時帰宅しながら)長い旅を続けると聞いている。小生も毎年通うのは長野県中央部、山梨県、福島県全般(桜前線が南下するという珍しい地域)、多摩地区などだが、特に地元市役所とも昵懇になり例えば飯田市などは市内と周辺の銘木の開花状況などを知らせてもらい、それに合わせて行動することになる。年々通っても咲きざま、時期は変わるのでこれが楽しい。掲記の写真は長年通ったところの一か所であるが、近年は老朽化し、支えの柱が付けられているので、もはやこのような形の姿は撮れなくなってしまった。

今月の一枚 2022年5月度
『 夕光の輝き 』 会員№ 212001 伊藤 勝夫
撮影地:東京・新宿御苑
撮影日: 2012年4月18日
カメラ:ペンタックス645 NⅡ
レンズ: 85mm
当日は肌寒い日でした。写友と春の花で溢れ、緑萌える新宿御苑を歩いた。いっも通り、各々が別行動となって、得意の被写体を求めて、歩き回る一日でした。閉苑時間近くに迫り、疲労を感じたので、一人で、中池から、イギリス庭園を横断していました。振り向くと、大木タイボクの向こうに、夕日が沈もうとしている光景に気がつきました。おりたたんである三脚を組み立てている間に、夕日の中を並んで飛ぶ三羽のカラスを撮り逃がしてしまった。この時、ふと、思い出しました。どなたかの言葉、「プロはスピ-ドのデジタル」「愛好家はフィルムカメラ」。正にその通りだと思い知りました。夕日を独占する大木タイボクを中心としたフレーミングを決め、都会の大木の雰囲気を出すため、ビルを入れました。予定しない好運に心臓の高鳴りを覚えながら、夢中で撮影をしました。

今月の一枚 2022年6月度
「 幽 玄 の 森 」 会員№ 216016 鹿内 忠直
撮影地:新潟県妙高市 仙人池
撮影日:2019年6月24日
カメラ:キャノンEOS 5DMarkⅣ
レンズ:EF24―105mm C-PL
妙高市の笹ヶ峰高原(標高約1300m)の中に小さな池がある。この場所へ撮影に来るのは2回目、1回目は天気が快晴の日でしたが今回は朝から願ってもない雨模様。この日現地に着くと緑の森の中に霧に包まれた仙人池がひっそりと佇んでいた。池の名前の通り昔から仙人が住んでいるといわれている幽玄な場所。岸辺のブナの木と霧と池を絡めた場所を往来しながら構図を決めた。撮影を続けていると霧の中にかすかな光が射し始めた。森の仙人からの贈り物でしょうか。慌ててその瞬時を撮影したワンシ-ンです。

今月の一枚 2022年7月度
「 甜菜畑の朝 」
会員番号No 214001 長谷川伸吾
カメラ:フィルムサイズ 6×45
レンズ:45~85㎜
北の大地の夏模様を見たくて、初の北行きを敢行した。北の朝は早い。4時頃には白々と夜が明ける。朝に弱い身には、この時期の早朝撮影は辛い。それでも3時半には、宿を出発、小高い丘に立った。この時の写真である。朝霧が今少し晴れず、足元の野菜畑を主役とした。気が付かなかったが、近くで既に畑作業中のご夫婦の姿があった。「これは何という野菜ですか?」と問うと、誠に明るく、丁寧に「甜菜ですよ」と答えてくれた。これが砂糖の原料である甜菜かと妙に納得した。写真の出来映えはとも角、こんなに早朝から野に出て働くご夫婦のご苦労に込められた逞しさとほのかな甘味を帯びた清々しさを思い出させてくれる一枚である。